廃墟のようなマンションの一室。そこに住まうパズルを続ける女と左手が動かない男には、誰にも言えない秘密があった。a piece of peace。ヒトカケラの真実を手に握りこの部屋のドアをノックする人間たち。漸増していく緊迫感がパズルのピースを巡るドラマを終幕へと向かわせ、やがて「謎かけ」によって構成されるクライマックス≠カタストロフ≠カタルシスへ――。「安易に説話的な満足感を与えることを慎み、判りやすい日常的な感動に分類され得ないひそやかな神話の手触り=味覚=感動を味あわせる」と語る、劇作家・新井哲渾身の最新作。