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■STORY■
1985年、茨城県つくば市にて科学万博―EXPO'85―が開催された。手塚治虫が描いたような未来都市が、すぐ手の届きそうな所に来ていることを日本人の誰もが確信していた。昭和の子供たちが夢に見た21世紀の世界を実現させるのは、科学。その結晶がこのつくばに花開くことをつくば市民は歓迎し、万博景気と呼ばれる好景気が生まれた。万博景気は街や県はおろか日本全土を潤し、日本は戦後復興の極みに達したことを世界に証明した。 時代はうなりを上げて変わろうとしていた。その波は市民ひとりひとりの日常にも覆いかぶさった。新しい価値観が産声を上げ、旧態依然とした日本人の文化や感覚は淘汰されようとしていた。古い老舗旅館がその存在意義を問われ、革新的な医療の発達が命の重さを変え、結婚の意味性が変容した。 「昭和が見る最後の夢」の最中にあって、若い親達は数々の決断を強いられた。何を「夢」と引き換えにするのか?彼らは知らぬ間に答えを出し、生活の営みの中で子供を作り、未来を次代に託した。 そして時は過ぎ、2007年。淡々と流れた月日。街も人も変った。凡庸な未来がここにはある。どこにでもありそうな同棲生活。たいした不自由のない大学生。年上の恋人。夢にやぶれた幼馴染。将来を棒に振った従兄妹や教師になった親友。 それぞれの平穏が「時代の忘れ物」に切り裂かれた時、ひとつの恋の断末魔が筑波の田園に響き渡る。 桜の季節、チェリーブロッサムハイスクールが記す青春残酷物語。 この凡庸な血の意味を知り、ぼくたちは恋をする。 虫のように。
■CAST & STAFF■
作:小栗剛 演出:柴田雄平 出演:野田政虎、渡部ラム、荒川修二、小栗剛、柴田雄平/ 岩崎正寛、土倉有貴、中川香果、雪森しずく、小島啓寿、 大久保ちか、宮本奈津美
公演データ