HOME >テアプラインナップ >朝食と組曲と二匹の猫
■STORY■
「朝食」 いつものように向かいのアパートのゴミ捨て場にいる猫の鳴き声で目が覚める。わざわざ高いローンを組んで買った割に壁の薄いこのマンションの一室は、猫の鳴き声は勿論、隣人の物音もクリアに聞こえる。 俺は目玉焼きを作る彼女に、壁の薄さの愚痴を言い、彼女はそんな俺をたしなめ、そして、ベットでは健太が泣きじゃくる。半年前までなら毎朝のように起きていた出来事だ。 そう。彼女と健太が死んで、半年が経った。 「組曲」 彼の部屋からは、あろうことかヘンデルの曲が流れてくる。私は仕事から帰ってくる度にそれを聞かなければならない。 馬鹿馬鹿しいな、と思う。十代の頃の彼が今の彼を見たら、一体、何を思うのだろう。 「ただいま」 …ああ、やっぱりね。いつものように、返事はない。 店が潰れ、私が働き始めてから一年が経った。 私はかつてのロック少年に伝えなければならないことがある。 「二匹の猫」 僕らが住んでいた小さなアパートのゴミ捨て場には、いつも二匹の猫がいて、僕らは毎朝、もしくは仕事からの帰り道で「彼女達」(二匹ともメスだった)に餌をあげること一つの日課となっていた。二匹の名前は「ゴロ子」と「ぴょん」。名付け親は勿論、彼女だ。 あれから一ヶ月が経った。 僕は彼女に告げなくてはならないことがある。「ぴょん」が事故で死んだこと。そして…。 ゴロ子が僕の元へやってきた。そして、遠慮がちに「ニャー」と鳴いた。僕はゴロ子に話しかける。 「お前の親は、もういないんだよ」 分かったのか分からなかったのか、ゴロ子はもう一度「ニャー」と鳴いて、ブロック塀の向こう側へ消えていった。 はらぺこペンギン第9回公演。 ■【こんな方にオススメします!】 ◎人情モノ、人間同士のドラマが好きな方 ◎素直な気持ちになりたい方 ◎観劇初心者にもベテランにも!
■CAST & STAFF■
作・演出:白坂英晃 出演:三原一太、立浪伸一、園田裕樹、杉本麗、川本喬介、白坂英晃、村田康二、平田暁子 栂村年宣(BQMAP)、玉崎詩麻(エメルパス)
公演データ